投稿者名:ethos

日々の雑感

墓誌に知る、幾多の物語のあとさき

彼岸入り。いつもは妻に任せきりの墓掃除ですが、今年はたまたま私の担当に。
冷えた朝の寺は、三門をくぐるだけで背筋が伸びる心地よさがありました。

草をむしり、石を洗い、花を供え、「また改めて妻と来ますね」と墓の中のみんなに短くご挨拶。
マフラーを巻き直し、うねうねと続く墓地の道を帰りながら、ふと視界に入る墓誌を見つめました。

ここには、何人もの誰かが懸命に生きた証が、幾多の物語のように詰まっている。

相続や遺言を扱うのが私の仕事です。
それは単なる書類作成ではなく、誰かの「生きた証」を大切に預かり、次へと繋ぐこと。
まだ冷たい風のなか、この仕事の持つ温かな責任を、じんわりと思い出した午前中でした。

日々の雑感

春の光と、愛用の万年筆

少しずつ日差しが暖かくなり、春の気配を感じる季節になりましたね。
今日、コンサートの帰り道、久しぶりに本厚木の有隣堂へ足を運んできました。最近はネットで本を買うことが増えましたが、やはりリアルの本屋さんは貴重な存在です。ずらりと並ぶ背表紙を眺めているだけで、今の世の中の「空気感」やトレンドが伝わってきて、知的な興奮とともに身が引き締まる思いがします。

また、有隣堂といえば充実した文房具コーナーも楽しみのひとつ。
実は私、万年筆が大好きでして、先日ついに愛用の「PARKER(パーカー)」を修理に出してきました。
昨年のこと、長年連れ添った経年劣化のせいか、軸が微妙に曲がり始めてしまったのです。「おや?」と思って自分で直そうとしたところ……グニャリ。あの瞬間のショックといったら、言葉になりませんでした。ですが、修理をお願いできると聞き、今はホッと胸をなでおろしています。
手元に戻ってくるのはもう少し先ですが、直った暁には、これまで以上に愛着がわくに違いありません。
春からの新しい書き物。相棒の帰還を、心待ちにしている今日このごろです。

日々の雑感

横浜、三月。新しい酒を、古い革袋に注ぐ

三月七日、横浜。海からの潮がわずかに春を運んでくる心地よい朝凪に吹かれ、「神奈川県行政書士会」の説明会に出席した。なかなかに「濃い」味わい深い時間だった。言葉の端々にプロの矜持が滲むその空気に当てられ、私はその足で登録申請書を提出した。
こうして今は、印度からの無頼旅から帰還し、事務所開設という名の「新しい試み」に耽っている。ブログを編み、ホームページを構築する。指先が再びキーボードの感覚を思い出し、時間を忘れそうになるのも、また一興。この「生みの愉しみ」は、何物にも代えがたい。

振り返れば、社会という名の荒野を四十年(よそとせ)近くも彷徨ってきた。酸いも甘いも、それなりに飲み込んできた自負はある。だが、いざ「専門」という深淵を覗き込んでみれば、そこには学ぶべき知の巨塊が、インドの北部を覆う「ヒマラヤ山脈」のごとく鎮座しているではないか。私は今、ふたたび「精進」という古風な言葉を噛みしめている。書物と格闘し、海千山千の諸先輩に教えを請う。そうして、一滴ずつ、良質な実力という名の雫を溜めていくしかない。
「あの人に任せて良かった」
誰からもそう言われる行政書士になれたなら、それはそれで愉快な人生の終盤戦といえるだろう。

窓の外では、桜が密やかに、しかし確信を持って芽吹こうとしている。
私の新しい季節もまた、この光の中で、静かに、そして熱く、幕を上げたのである。…つづく?

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